小説 2015/07/11 ストレイヤーズ・クロニクル ACT‐1 本多 孝好 (著) 映画公開で勢いづく小説 ストレイヤーズ・クロニクル ACT‐1 こんにちは。水海です。 お久しぶりですね。 今回はストレイヤーズ・クロニクル ACT-1 (集英社文庫) をご紹介します。 映画の公開に伴い、能力者が集まり戦う話であることに興味を持ちました。 試しに、本屋さんに寄って中を軽く読むと、しっかりと物語の世界観に入りたくなりました。 二十代前半で端整な容姿を持つ荏碕昴は、野党の若手人気政治家・渡瀬浩一郎の裏の仕事を手伝わされていました。 常人にはない、特殊能力を持ち、同じように施設で育った仲間の亘を渡瀬に人質に取られているため、渡瀬の命令に従わざるを得ず、他の仲間たちと亘を助けるために戦いに身を投じます。 灰色の瞳を持つ美貌の女子大生の玄馬沙耶は、鋭敏な聴力を持っています。 坊主頭の高校生で、超人的な運動能力を持つ秋山隆二、引きこもり気味の中学生で、視覚記憶能力を持つ良介。 今回は、与党の大物政治家である大曽根を失脚させるために、家出した娘の悠里が持ち出した2つのファイルを確保すること。 昴が行方を捜すために接触したのは、裏の世界に通じている謎の男、ドバト。 既存の組織に身をよせた場合の捜索を任せました。 個人的に隔絶された環境に身を置いている場合も考え、良介の能力でも捜索。 悠里は、佐倉伸吾という元ホストでキャバクラ専門のスカウトマンをしている男に声をかけられ、モデルの仕事を紹介されました。 18歳未満対象にしていたDVDに、水着モデルで出演をすることでした。 13歳の少女が家出をして東京で生きるには…、簡単に堕ちる闇の市場が身近にありました。 良介の能力で、悠里がDVDに出演していることを突き止めた昴は、ドバトにDVDを出版しているその社長とコンタクトを依頼します。コンタクトに応じて、昴の前に現れた社長の三井は、元全共闘の闘士という過去を持ち、物事を面白がる傾向にありました。 六十過ぎでありながら、昴や渡瀬の配下を相手に立ち回りを演じ、悠里や伸吾と行動を共にし、悠里の父である大曽根の追手からや、謎の金髪少年からの襲撃にも遭います。 父の追手で私的秘書の牧田俊哉の思惑と悠里の想い。悠里が父親の大事な2つのファイルを持ち出したのは何故なのか? 悠里は、人間の本質を見極める目を持っていました。伸吾は、悠里に利用される甘さと、きっかけを求めて行動をしていました。 三井は、傍観者として事件を眺めるつもりでしたが、当事者として悠里と伸吾を助けていました。 三井が語った、逢魔が時。黄昏時、人は魔に逢う。 人は何を想い行動をするのか。 昴は、渡瀬に従いながらも渡瀬の命を狙っていました。 目的を遂行するために殺人を厭わない、世間を賑わす残虐な殺人集団<アゲハ>。金髪少年はアゲハの一員で、渡瀬は昴にアゲハの追跡を仄めかしていましたが、真意は不明でした。 悠里の持つファイルを確保する前に現れた金髪少年の名前は荘。隆二と同じくらい速く動ける力を持っていました。 渡瀬に敵対する明確な意思を持ち、標的を抹殺をする残虐な殺人集団<アゲハ>の一員でした。 昴たちとは別のラインで作られたプロトタイプであることを明かします。 昴は仲間を守りきれるのか。 昴の前に姿を現し接触する機会を伺うアゲハの面々。 これから先に、昴とアゲハがどのような戦いに転じるのか気になります。 ▼スマホの方はこちらから。 ストレイヤーズ・クロニクル ACT-1 (集英社文庫) ▲にほんブログ村「書評・レビュー」ランキングにも参加しています。 [0回]PR
小説 2015/06/13 遺跡発掘師は笑わない 出雲王のみささぎ (角川文庫) 西原無量シリーズ第2弾の開幕です。 こんにちは。水海です。 今回は遺跡発掘師は笑わない 出雲王のみささぎ (角川文庫)のご紹介です。 西原無量シリーズ第2弾の開幕です。 前作の上秦古墳の遺跡発掘事件から一年以上が経過し、永倉萌絵は、ただの事務員から発掘コーディネーターを目指していました。 公的な資格試験はなく、事務所の設定する通称「亀石テスト」なる試験をクリアしなければなりません。 遺跡の発掘や埋蔵文化財に関する法律や現場知識等々、難易度の高いものでした。これまでに「亀石テスト」を合格した所員は、今は国連(ユネスコ)の職員。エジプトの考古学省に呼ばれたりという華麗な経歴を獲得していました!? 萌絵は、無量と何の約束や進展もなく、その後は会う機会もないままでしたが、いざという時に備え、無量を守り、無量を補佐できるように、コーディネーター研修とは別に、少林寺拳法や中国語会話も習い始めていました。 そんな折に、亀石発掘派遣事務所―通称「カメケン」の所員のひとり、金垣寛人が所長の兄が経営する親会社に引き抜かれて栄転。 抜けた穴には、新人が入るという噂が…。 コーディネーター研修の為に、出雲の発掘現場に赴く萌絵でしたが、所長の粋な計らいが待っていました。出雲空港で無量との再会。遺跡発掘現場は、降矢家と八頭家というふたつの旧家に縁のある神域で、神立南遺跡と厳谷でした。 現場では、無量の師匠でもあり、萌絵の担当教官にもなる、ベテラン考古学者の鍛冶大作から鬼のしごき。調査員は、出雲埋蔵文化財センターから、誠実そうな高野繁雄。遺跡発掘現場の地権者の孫娘でもある降矢むつみ。無量に対して敵意を剥き出して絡む九鬼雅隆。 住民らが祟りがあると囁く不穏な空気の中で、無量の『鬼の手』が青銅製の髑髏を掘り当てたことから次々と事件が起こり、否応なく渦中に巻き込まれてしまいます。 脅しを受ける無量と萌絵。さらに暴漢に襲われた無量の窮地に駆けつけてくれた幼なじみの相良忍とふたりは再会を果たします。 忍は、文化庁を辞めて、所長の計らいでカメケンの一員となっていました。 忍も加わって、発掘調査を進めていく内に、少しずつ真実が明るみに出てきます。 神話や伝説だけではなく、戦時下の日本を生きた先祖たちが遺した足跡や文献。旧家の一族である降矢竹吉の不可思議な行動と数々の謎。もうひとつの旧家一族、八頭家も関わる深い因縁と、秘された旧家の罪と闇。 家に囚われ、罪に縛られたた人間の祈りのような願いと確執がもたらす悲劇。 一族を束ねる降矢の女傑が語る『竹吉』とは罪の名の意味するところは。 降矢一族のお家騒動も背景に絡み、それぞれが心の奥に抱えた遣り場のない想いと、肉親であるからこその赦せない憤りがぶつかります。 萌絵の持つ無量への想い。無量の持つ忍への想い。 忍の持つ無量への想い。 それぞれの想いを胸に秘めて、三人は『竹吉』からの度重なる警告を無視して、真実を明らかにするために行動をします。 事件の真相に迫って危険な立場にいる無量を守るため、忍は冷徹な行動に出ます。その行いには、かなり衝撃を受けてしまいました。 目的の為に手段を選ばない冷徹に事を成し遂げる強固な意志です。 その冷徹さを身につけるに至った過去の境遇と決意の重さに胸が塞がれます。 萌絵ちゃんの明るい強さが生意気だけど繊細な無量と、優しいのに冷徹な二面性も併せ持っている忍ちゃんのふたりの絶対的な味方になって活躍してくれることを期待したいと思います。 ▼PCの方はこちらからアマゾンへ ▼スマホのかたはこちらからアマゾンへ 遺跡発掘師は笑わない 出雲王のみささぎ (角川文庫) ▲にほんブログ村「書評・レビュー」ランキングにも参加しています。 [0回]
小説 2015/05/29 桑原 水菜 著の「遺跡発掘師は笑わない ほうらいの海翡翠」古代のロマン。史実や設定も凄くしっかりとしているので、読み応えがあります。 こんにちは。水海です。 今回は遺跡発掘師は笑わない ほうらいの海翡翠 (角川文庫) をご紹介します。 炎の蜃気楼(ミラージュ) シリーズを書いている作家さんだったので、気になって読んでみることにしました。 永倉萌絵は、前の職場から突然リストラされ、やけ酒を飲んでいたときに居合わせた男性と意気投合、男性が所長を務める職場に、事務員で運良く拾ってもらえました。 亀石発掘派遣事務所。 遺跡発掘に伴う様々な作業に、国内外を問わず、考古学、地質学、建築学…と様々なジャンルを超えて適材適所に人材を派遣するという、グローバルに活動している会社でした。 見てくれのわりに顔が広くマイペースな所長の亀石、帰国子女の相川キャサリン、新米パパの金垣寛人の3人だけの事務所でした。 その事務所の登録発掘員の中でも、Aクラスの発掘員は、優れた発掘技術と豊富な知識を持ちアドバイザーとして海外でも活動をしています。 事務所の若きエース、西原無量は「レベルA」を獲得。常に手袋をしている右手。 その下には鬼が笑っているような顔の火傷痕が残った"鬼の手"(オーガハンド)。 その右手は、無量本人しか解らない不可思議な感覚を伝え、国宝級の重要遺物を次々に発見していきます。 21歳の若さにして、業界で「宝物発掘師」の異名をも取る伝説の発掘師になっていました。 大学の発掘チームから依頼を受け、奈良県の上秦古墳にやってきた無量と萌絵。その発掘現場で、文化庁の職員として現れた幼なじみの相良忍と、十二年ぶりに再会を果たします。 発掘現場で無量が発見した緑色翡翠を見て、この発掘に無量を指名した三村教授が発した『蓬莱の海翡翠』という言葉と不可解な態度。 その言葉を残し、三村教授は何者かに殺害されてしまいますが、三村教授は亀石所長宛てに遺品を残していました。 遺品の謎を調べていくと、十二年前に起きた相良家の火事の真相と復讐を誓って生きてきた忍の過去なども暴かれていきます。 慕っていた幼なじみの忍に対する疑念。 無量が右手を火傷する原因にもなった無量と忍の複雑な事情と確執。 発掘現場に居合わせた人間たちの様々な思惑と過去が三村教授の殺人事件に絡み明らかになっていきます。 無量と忍の悲しみや憤り、自分に出来ることの限界を感じて切なくなります。 権力を持った人間の欲望とエゴから生まれた、誤った選民意識、教育による洗脳と支配が行われていること。 権力と欲望に取り憑かれ、人を陥れ、蹴落とすことに何の痛痒も覚えない人種の存在は、物語の世界だけではないと感じます。 史実や設定も凄くしっかりとしているので、読み応えがありました。 自分は、なんちゃって歴史ぐらいにしか興味を持っていなかったので、邪馬台国や琉球王朝といわれても、ロマンチックな世界の延長という感じでしたが、日本の文化が、世界遺産として認められることも最近増えてきたので、自国の歴史や将来を考えさせられました。 本場のカンフーに憧れて、中国に留学までした萌絵が少林寺拳法三段、その特典で中国語も話せて、空手もできちゃう強い女の子だというところも好きです。 そんな萌絵ちゃんと無量の関係がどうなっていくのかも期待したいと思います。 ▼パソコンの方はこちらから ▼スマホの方はこちらから 遺跡発掘師は笑わない ほうらいの海翡翠 (角川文庫) ▼関連商品ほこちら ▲にほんブログ村「書評・レビュー」ランキングにも参加しています。 [0回]