小説 2015/05/29 桑原 水菜 著の「遺跡発掘師は笑わない ほうらいの海翡翠」古代のロマン。史実や設定も凄くしっかりとしているので、読み応えがあります。 こんにちは。水海です。 今回は遺跡発掘師は笑わない ほうらいの海翡翠 (角川文庫) をご紹介します。 炎の蜃気楼(ミラージュ) シリーズを書いている作家さんだったので、気になって読んでみることにしました。 永倉萌絵は、前の職場から突然リストラされ、やけ酒を飲んでいたときに居合わせた男性と意気投合、男性が所長を務める職場に、事務員で運良く拾ってもらえました。 亀石発掘派遣事務所。 遺跡発掘に伴う様々な作業に、国内外を問わず、考古学、地質学、建築学…と様々なジャンルを超えて適材適所に人材を派遣するという、グローバルに活動している会社でした。 見てくれのわりに顔が広くマイペースな所長の亀石、帰国子女の相川キャサリン、新米パパの金垣寛人の3人だけの事務所でした。 その事務所の登録発掘員の中でも、Aクラスの発掘員は、優れた発掘技術と豊富な知識を持ちアドバイザーとして海外でも活動をしています。 事務所の若きエース、西原無量は「レベルA」を獲得。常に手袋をしている右手。 その下には鬼が笑っているような顔の火傷痕が残った"鬼の手"(オーガハンド)。 その右手は、無量本人しか解らない不可思議な感覚を伝え、国宝級の重要遺物を次々に発見していきます。 21歳の若さにして、業界で「宝物発掘師」の異名をも取る伝説の発掘師になっていました。 大学の発掘チームから依頼を受け、奈良県の上秦古墳にやってきた無量と萌絵。その発掘現場で、文化庁の職員として現れた幼なじみの相良忍と、十二年ぶりに再会を果たします。 発掘現場で無量が発見した緑色翡翠を見て、この発掘に無量を指名した三村教授が発した『蓬莱の海翡翠』という言葉と不可解な態度。 その言葉を残し、三村教授は何者かに殺害されてしまいますが、三村教授は亀石所長宛てに遺品を残していました。 遺品の謎を調べていくと、十二年前に起きた相良家の火事の真相と復讐を誓って生きてきた忍の過去なども暴かれていきます。 慕っていた幼なじみの忍に対する疑念。 無量が右手を火傷する原因にもなった無量と忍の複雑な事情と確執。 発掘現場に居合わせた人間たちの様々な思惑と過去が三村教授の殺人事件に絡み明らかになっていきます。 無量と忍の悲しみや憤り、自分に出来ることの限界を感じて切なくなります。 権力を持った人間の欲望とエゴから生まれた、誤った選民意識、教育による洗脳と支配が行われていること。 権力と欲望に取り憑かれ、人を陥れ、蹴落とすことに何の痛痒も覚えない人種の存在は、物語の世界だけではないと感じます。 史実や設定も凄くしっかりとしているので、読み応えがありました。 自分は、なんちゃって歴史ぐらいにしか興味を持っていなかったので、邪馬台国や琉球王朝といわれても、ロマンチックな世界の延長という感じでしたが、日本の文化が、世界遺産として認められることも最近増えてきたので、自国の歴史や将来を考えさせられました。 本場のカンフーに憧れて、中国に留学までした萌絵が少林寺拳法三段、その特典で中国語も話せて、空手もできちゃう強い女の子だというところも好きです。 そんな萌絵ちゃんと無量の関係がどうなっていくのかも期待したいと思います。 ▼パソコンの方はこちらから ▼スマホの方はこちらから 遺跡発掘師は笑わない ほうらいの海翡翠 (角川文庫) ▼関連商品ほこちら ▲にほんブログ村「書評・レビュー」ランキングにも参加しています。 [0回]PR