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一景のススメぃ

私こと一景が、相方、水海とカワいくもユルい品々を求める日々。ゆるいキャラだったり、グッズだったり、本だったり。時には真面目に語ったりします。

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結城 光流「モンスター・クラーン 黄昏の標的(ツィール)」世界には、人間以外の一族が存在し、人知れず生活している…そんな物語



こんにちは。水海です。

モンスター・クラーン 黄昏の標的 (角川ビーンズ文庫) をご紹介します。

モンスター 昼と夜の狭間、黄昏の住人たち。

伝承の中でも、遥か昔からヴァンパイアの存在は浸透していると思います。

世界には、人間以外の一族が存在し、人間たちの隣で、人知れず生活をしている。そんな物語です。

司堂咲夜は、赤ん坊の頃にドイツのヴァンパイア一族の邸の玄関前に、置き去りにされていました。

その邸はベルンシュタイン家という、ヴァンパイアの長である夫妻たちが暮らす邸でした。

邸の主人でヴァンパイアの長カール・ブラント・フォン・ベルンシュタインと、最愛の妻で人間のエミーリア、カール夫妻の息子である、ダンピールのアルベルト、狼男で執事のルイ・アドリアン・ベリル、老貴婦人で、メイドのグレーテルという人間以外の人たちに囲まれ、普通の人間の少女ながら一家の大切な養女として、大事に育てられました。

そんな少々複雑で、特異な環境の中でも、一家と懇意にしている、東條要という人間の友人も傍にいました。

みな基本的に美形キャラで、家長のカールは、妙に日本びいき。一家の人たちも皆完璧な日本語を操ります。

邸の広い敷地内には、日本から腕の良い宮大工を招き平屋の純日本家屋も建てて手入れも怠らない本気ぶり。

そして、洗練された外見と裏腹に、冬になれば、日本の職人にオーダーで作らせた半纏(どてら)を身にまとい湯呑みに熱い葛湯を入れてすする姿を披露してくれます。

執事のルイも、人狼でありながらも穏やかな物腰で、美味しい紅茶を入れる達人の美青年。

メイドのグレーテルは、妻のエミーリアが亡くなってからも、咲夜たちを慈しみ、守り、支えながらも、時には邸の男どもを軽くいなしてしまう頼もしい存在です。

血族のみを重んじる一族の長老衆は、10年前に一家から義兄アベル引き離し、人質のように奪いました。その一族から、義兄アベルを取り戻し、血族の正式な跡取りとして認めさせること。

また、咲夜自身も血族に連なり、一家と共に在ることを認めさせるため、咲夜たちは、保守的で閉鎖的な一族と取り引きをします。
人間と、人間に仇なす存在と化した、ヴァンパイアの異端者たちを狩る戦いの幕が上がります。

異端者やモンスターたちを倒す戦いの最中で、アベルとの再開を果たします。
咲夜のアベルに対する想い、アベルの咲夜への想い、父カールの子供たちへの想い、亡き妻エミーリアの家族を愛していた想い…。


結城光流さんの描くお話は、登場人物の一人一人が心に秘めた純粋な想いが交差して、現実に立ちはだかる障害や壁に、勇気を持って立ち向かっていく姿が素晴らしいのだと教えてくれます。

ついつい気になる武器や、闇の存在、単語も出てくるので引っかかって楽しんでいます。

拳銃で、S&W(スミス&ウェッソン)M36チーフス・スペシャル。
刀に龍が刻みこまれ『真の倶梨伽羅』と呼ばれる名刀。
『龍王』という名も持つ脇差。
秘密結社や、錬金術。
伝説に残るモンスターなどの人在らざる者。

守られるだけの存在から、戦うことを選んだ少女咲夜がどうなるのか。
それぞれが、いかなる障害を前にしても、自分の想いを貫き通し、諦めずに闘うこと。

勢いに乗って一気にテンポよく楽しく読めるお話です。

このお話ではありませんが少年陰陽師というシリーズも出ているので、そちらもお楽しみ頂ければと思います。

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平井和正の死霊狩り②(ゾンビー・ハンター)人間が、人間らしいという証明は、なにをもって可能なのでしょうか。




こんにちは。水海です。

今日は、この間ご紹介した死霊狩りの2巻、死霊狩り(ゾンビー・ハンター)2です。


生命力を買われてゾンビーハンターとなった元レーサーの俊夫は、最初の事件でゾンビーに汚染されていた恋人のジャンジーラを機銃で自ら手にかけました。

その事件で、唯一の肉親である姉の由紀子も巻き込み亡くしてしまいます。
絶望と、ゾンビーに対する復讐、司令官"S"への憎悪を糧に生きている俊夫に、次の任務が与えられます。ゾンビーと信じて遂行した任務でしたが、殺した人間はゾンビーではなく生身の人間でした。

ゾンビーではない人間を殺した事実に苛まれ、悶々と悩んでいるところに、教官でもあり仲間と信じている林や、ライラからも、俊夫は殺し屋には向いていない、早く手をひいた方がいいと諭されてしまいます。

その事実を頑なに認めない俊夫は、司令官"S"に、単なる殺人マシーンとして使われたという疑問をぶつけて詰め寄り、確実にゾンビーである対象者以外の任務は請けないと伝え、ゾンビーハンターとして新たな任務に着手します。

任務の内容は、CIAの協力を受け、元電気技師である加賀昭と妻の陽子、二人の子供の秀夫とナナという、一家の抹殺でした。

無意味な人殺しを望まない俊夫と、CIAの要求が噛み合い、加賀一家を観察して作戦を練っていた俊夫は、対象者の妹である加賀良子に近づきます。

報告内容との相違に、対象がゾンビーではない疑念を抱いた俊夫は、任務の遂行を躊躇ったため、"S"から任務不適切と見做されて、代わりに林が送り込まれてきました。

林を説得し、僅かな猶予の時間を得た俊夫でしたが、必死に救おうとした加賀家と良子の真実が明らかに…。

組織も人も、それぞれが掲げた思想と利益によっての行動しかしてくれません。誰がゾンビーで、誰が人間なのか。

自分が知っているゾンビーの真実が本当は何なのか、人間性とは何なのかを、他ならぬ良子に問われます。司令官"S"の底知れなさがもたらす、権力者の論理。

林の、殺し屋として生きる感情に左右されない感覚の慣れ。

ライラの生きてきた環境で培われた、血の繋がった弟でさえも、己の使命の前に排除も辞さぬ冷徹さと任務を遂行する非情さ。

人間が、人間らしいという証明は、なにをもって可能なのでしょうか。

そんな二人でも俊夫のことを心配する一面を持ってるという部分に、人間の矛盾と微かな希望を見いだしてみたいと思ってしまいます。

俊夫は苦悩の果てに答えを見つけることができるのでしょうか。






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平井 和正・死霊狩り①を読む。世界観に人間の持つ残虐性と暴虐性が表現されている



こんにちは、水海です。
今日は少し前の作品ですが、死霊狩り(ゾンビー・ハンター)1 です。


平井さんの世界観の根底には、常に人間の持つ残虐性と暴虐性が表現されています。

元レーサーの田村俊夫は、レース中の事故で瀕死の重傷を負いましたが奇跡的な生還を遂げますが、事故原因の真実を隠蔽するために邪魔な存在として、チームからは解雇され、レース界からも追放されてしまいました。

今までの華やかな世界から一変、地位も夢も恋人まで失った俊夫は、絶望の果てに暴力団を殺傷する事件を起こし、警察に追われる身になっていました。
そんな俊夫に近づいてきた得体の知れない男たちから常識はずれの条件で、海外の秘密組織に高額な報酬と引き換えに身柄を買い取られます。 他にも人種や国籍も雑多な人間が、俊夫と同じように選抜試験を受けるため島に送り込まれました。

CIAやFBI、犯罪者といった暴力の猛者たちばかりの連中が一堂に集められて行われた生存競争。
そこで生き延びた生存者も、更に過酷で特殊な訓練を秘密キャンプで受けさせられました。 俊夫は、凄惨な生き残りをかけた生存試験で、二人の仲間と共に生き延びていました。

驚異的な回復力と、ナイフ使いの名手でもある、元パレスチナ民族解放戦線の女兵士、ライラ・アミン。 日本企業に対する破壊工作活動に失敗して捉えられた男で、超人的な体力と、人体の経絡秘穴を知り尽くした技も持つ、元中国保安省破壊工作員の林石隆(リン・シールン)。

最初に集められた二千人のうち、百人に一人の割合でしか生き残れず、残った人間は死ぬか発狂の道を辿りました。八ヶ月の養成期間。俊夫も、訓練で左目と左腕を失い精巧な義手と義眼を与えられました。 何のために、ここまで過酷な試練を受けなければならなかったのか。

施設の司令官である"S"を抹殺して、島からの逃亡を決意し行動を起こします。対峙した"S"を前に、林とライラから話を聞いてほしいと懇願。その真実は、緑色の物体が人体に寄生していること、地球外生命体による、宇宙からの侵略を受けといるという事実でした。真実を知っても、話を信じていない俊夫は日本に戻ります。

姉の由紀子と恋人のジャンジーラが俊夫を迎えてくれますが、"S"の思惑通りに踊らさていた現実が俊夫に突きつけられることに…。俊夫は、ゾンビーハンターとして侵略者を葬り、"S"に復讐するために生きることを誓います。


圧倒的な破壊と暴力、国家的な規模で大義名分の上になされる非人道的な活動。一個人の平和という、脆く簡単に崩れ去る現実。 現実世界でも、紛争やテロ活動、残虐な事件が身近なところでも数多く起こっています。 普通と信じて疑わない現実世界で、何が嘘で何が本当なのか、どこまでの真実が知らされているのか、何も知らないでいることの罪と幸福を感じてしまいます。




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