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一景のススメぃ

私こと一景が、相方、水海とカワいくもユルい品々を求める日々。ゆるいキャラだったり、グッズだったり、本だったり。時には真面目に語ったりします。

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神永学作品は可能性というものに触れてくる「革命のリベリオン: 第I部 いつわりの世界 (新潮文庫) 」



革命のリベリオン: 第I部 いつわりの世界 (新潮文庫)

こんにちは、水海です。

第Ⅰ部 いつわりの世界 日本の近未来を描いた物語ですが、もしも本当に関東全域に巨大地震が起きて、大津波が襲ってきたら…。

壊滅的な被害を被り、国家存続の危機に瀕し、自力での復興が絶望的な状況の中にあって、それでも列強の諸国から日本という国自体を守らねばならないとき、遺された人には何が出来るのでしょうか?

いずれかの道を選択して、その先に訪れる未来は?

この物語の舞台は、災害後日本を速やかな復興に導く為、科学技術により全国民のDNAデータを解析し、人材を適材適所に配置するシステムを開発、実施したことから始まります。

しかし、DNAシステムで奇跡的な復興を果たすも、その後の社会は、海上都市フロートアイランドを建設した壁によって、支配する者とされる者を、DNAのランクで富裕層と貧困層に分ける絶望的な格差社会を生みだします。

主人公のコウ(草薙巧)は、親に放棄されたロストチルドレンとして、養護施設で育ち、施設を出てからも妹のユウナと2人で暮らしていますが、DNAランクが低いために貧困層の階級に位置付けられ底辺の生活を強いられていました。

きちんとした教育や、病気の治療も受けられない環境では、まともな職業に就くことも難しく、病気を抱えた妹の治療費を稼ぐために、高額な報酬を得る仕事を受けてしまいます。

コウが受けた仕事は、爆弾テロリスト犯として警察に追われ逃走するはめに…。

コウを追うテロリスト対策班を率いる隊長のクリス。 逃走中に負傷したコウと出逢い、匿ってくれた富裕層の少女:市宮ミラ。

ミラとの出逢いで、富裕層と貧困層あっても同じ人間であり、分かりあえるかも分かりあえるかも知れないことを感じたのも束の間、クリスに見つかってしまいますが、ミラの協力で逃走します。

闇雲に逃げるコウを謎の男:一馬が助け、その窮地を更に人型兵器を操る少女イヴに助けられます。

助けられた意味も分からず妹のユウナが心配であったコウは、イヴや一馬と一度は別れますが、既にコウの運命は動き出していました。

イヴと一馬が心酔して従うイザナギと名乗る義手義足の男も現れ、コウに世界の不条理を教え、欺瞞を説き明かします。

誰が、DNAランクによるシステムによる格差社会を取り仕切っているのか…。

災害後、既得権益を守ろうとした一部の人間達により本来の目的を失ったDNAシステムの歪み。
現状を把握し、歪みを正すためには、世界の希望の光となるべく、コウは、反逆者(リベリオン)の道を歩み出します。


現実の世界も不条理と欺瞞に満ちて、考え方や生き方も様々です。

だからなのでしょうか。

神永さんの物語は、人間の内面の葛藤や、人間のエゴ、理想と挫折、真実と心の闇、希望と嫉妬、可能性というものに触れてくるので気がつくと引き込まれて一気に読んでしまいます。

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神永学、輪廻転生と人の縁の結びつきに感動できる「イノセントブルー 記憶の旅人」



こんにちは。水海です。

神永学さんの新シリーズでイノセントブルー 記憶の旅人 (集英社文庫) をご紹介したいと思います。

ある事件をきっかけに放浪していた森川誠一郎は、ふと立ち寄った海辺で初めて来た場所なのに懐かしさを感じて再出発の場所として選びました。

森川は、古いペンションを気に入って買い取り、手をかけて慣れないペンション経営を始めました。
開業当初から働いてくれているアルバイトの平井陽子が、明るくて人受けも良いことも幸いしてペンション経営が成り立っていました。

ある春先に、浜辺で倒れていた、才谷梅太郎という不思議な美青年と連れ立っている犬のミラノを助けます。

飄々とした不思議な青年の才谷は、自分は前世の記憶があり、人捜しをしていてこの浜辺には運命によって流されてきたと云います。試しに、森川や、陽子の前世を追体験して見せることが出来るので、その夢を共有して自分の人捜しに協力をしてほしいと言い出します。

森川は、催眠術だと疑って前世の夢を拒否しますが、陽子は、前世を受け入れます。漠然として抱えていた何か満たされない想い…。前世では叶わなかった想いが、現世ならば自分が一歩を踏み出せば出来るということに気がつきます。

そして、前世の縁も絡んで、前世の記憶に捕らわれたり、導かれるかのようにして森川のペンションには現世でもしがらみを持っている人々が引き寄せられ集まってきます。

繰り返し見る夢の中で逢う女性が、前世の想い人だと確信し、記憶に捕らわれて闇雲に行動をする悠人。
その悠人の夢に現れる現世での女性は、ピアニストの三浦千里。
悠人は、夢で見ていた場所が実在していること。

夢の女性が生まれ変わっていることを信じて疑わず、自分の想いだけに捕らわれ行き当たりばったり無謀な行動を起こします。
導かれるように向かう場所は、森川の住む浜辺…。

才谷を拾ってから、森川の元に、前世と現世での縁が絡み合った人々が集まってきます。
会社経営に失敗した元社長で、ホームレスになり自殺を考えて死に場所を求めていた有田浩介。
森川が放浪する前の事件の当事者である汐見純也との因縁の再会。

全ては、前世からの複雑に絡み合った縁から、そうとは知らずに、現世でも再び縁を結んでいること。
魂に刻まれた絆と、前世での過ちによる拭えない傷を再び繰り返してしまう性。才谷の持つ不思議な能力で人々は前世の自分を知り、魂の再生と癒やし、可能性を見つけて新たに生き直す術を得ていきます。

悲しみと優しさに包まれるお話で、輪廻転生と人の縁の結びつきに感動できる物語です。

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神永学「確率捜査官 御子柴岳人」を読む


水海です。
今回ご紹介するのも、神永学さんのシリーズに共通するもの。

部外者で俺さまなヒーローと、真面目で心優しく芯の強さを持ったヒロイン。
そして犯罪事件、警察、探偵という要素が多く含まれています。

確率捜査官 御子柴岳人シリーズも、そんなお話です。

新米警察官の新妻友紀は、事件捜査で犯人を取り調べた際に、一緒に取り調べを担当した刑事の行き過ぎたやり方に反発と疑問を抱き自信をなくします。

そんな折り新設部署に移動を命じられ、信頼の持てる上司"権野道徳"の元に。
そこで、捜査協力者として大学の准教授、美貌の若き天才数学者、御子柴岳人と出会いコンビを組むことになります。

毒舌でマイペース、我が儘な御子柴に振り回されながらも、事件を解決に導いていきます。(ドラマのガリレオみたいですね)

絶対的な事実と証拠、証言から、自身の数学的見地により、犯罪の中の矛盾点を一つ一つ暴き解明して事件の真相に近づきます。
一見、人の気持ちなど全く意に介さないようでいて、自分の父親が冤罪の汚名を着せられた過去の事件背景持つことも明らかに…。

大学の准教授という絡みで別シリーズの心霊探偵八雲の登場人物も出てきます。神永さんの小説は、事件を通して現れる人間の本性。物事を一面から見ているだけでは分からない心理。

置かれる立場が代われば、真実や物事の側面が違ってくることが解ります。
頭の中で、登場人物が生命を持って生き生きと動いてくれます。
いつか、色々なシリーズの登場人物が一堂に会してくれるような物語を期待してしまいます。

マンガ版もあります↓
確率捜査官 御子柴岳人 第1巻 (あすかコミックスDX)
確率捜査官 御子柴岳人 第2巻 (あすかコミックスDX)
確率捜査官 御子柴岳人 第3巻 (あすかコミックスDX)

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