小説 2015/06/13 遺跡発掘師は笑わない 出雲王のみささぎ (角川文庫) 西原無量シリーズ第2弾の開幕です。 こんにちは。水海です。 今回は遺跡発掘師は笑わない 出雲王のみささぎ (角川文庫)のご紹介です。 西原無量シリーズ第2弾の開幕です。 前作の上秦古墳の遺跡発掘事件から一年以上が経過し、永倉萌絵は、ただの事務員から発掘コーディネーターを目指していました。 公的な資格試験はなく、事務所の設定する通称「亀石テスト」なる試験をクリアしなければなりません。 遺跡の発掘や埋蔵文化財に関する法律や現場知識等々、難易度の高いものでした。これまでに「亀石テスト」を合格した所員は、今は国連(ユネスコ)の職員。エジプトの考古学省に呼ばれたりという華麗な経歴を獲得していました!? 萌絵は、無量と何の約束や進展もなく、その後は会う機会もないままでしたが、いざという時に備え、無量を守り、無量を補佐できるように、コーディネーター研修とは別に、少林寺拳法や中国語会話も習い始めていました。 そんな折に、亀石発掘派遣事務所―通称「カメケン」の所員のひとり、金垣寛人が所長の兄が経営する親会社に引き抜かれて栄転。 抜けた穴には、新人が入るという噂が…。 コーディネーター研修の為に、出雲の発掘現場に赴く萌絵でしたが、所長の粋な計らいが待っていました。出雲空港で無量との再会。遺跡発掘現場は、降矢家と八頭家というふたつの旧家に縁のある神域で、神立南遺跡と厳谷でした。 現場では、無量の師匠でもあり、萌絵の担当教官にもなる、ベテラン考古学者の鍛冶大作から鬼のしごき。調査員は、出雲埋蔵文化財センターから、誠実そうな高野繁雄。遺跡発掘現場の地権者の孫娘でもある降矢むつみ。無量に対して敵意を剥き出して絡む九鬼雅隆。 住民らが祟りがあると囁く不穏な空気の中で、無量の『鬼の手』が青銅製の髑髏を掘り当てたことから次々と事件が起こり、否応なく渦中に巻き込まれてしまいます。 脅しを受ける無量と萌絵。さらに暴漢に襲われた無量の窮地に駆けつけてくれた幼なじみの相良忍とふたりは再会を果たします。 忍は、文化庁を辞めて、所長の計らいでカメケンの一員となっていました。 忍も加わって、発掘調査を進めていく内に、少しずつ真実が明るみに出てきます。 神話や伝説だけではなく、戦時下の日本を生きた先祖たちが遺した足跡や文献。旧家の一族である降矢竹吉の不可思議な行動と数々の謎。もうひとつの旧家一族、八頭家も関わる深い因縁と、秘された旧家の罪と闇。 家に囚われ、罪に縛られたた人間の祈りのような願いと確執がもたらす悲劇。 一族を束ねる降矢の女傑が語る『竹吉』とは罪の名の意味するところは。 降矢一族のお家騒動も背景に絡み、それぞれが心の奥に抱えた遣り場のない想いと、肉親であるからこその赦せない憤りがぶつかります。 萌絵の持つ無量への想い。無量の持つ忍への想い。 忍の持つ無量への想い。 それぞれの想いを胸に秘めて、三人は『竹吉』からの度重なる警告を無視して、真実を明らかにするために行動をします。 事件の真相に迫って危険な立場にいる無量を守るため、忍は冷徹な行動に出ます。その行いには、かなり衝撃を受けてしまいました。 目的の為に手段を選ばない冷徹に事を成し遂げる強固な意志です。 その冷徹さを身につけるに至った過去の境遇と決意の重さに胸が塞がれます。 萌絵ちゃんの明るい強さが生意気だけど繊細な無量と、優しいのに冷徹な二面性も併せ持っている忍ちゃんのふたりの絶対的な味方になって活躍してくれることを期待したいと思います。 ▼PCの方はこちらからアマゾンへ ▼スマホのかたはこちらからアマゾンへ 遺跡発掘師は笑わない 出雲王のみささぎ (角川文庫) ▲にほんブログ村「書評・レビュー」ランキングにも参加しています。 [0回]PR