小説 2015/03/10 神永学、輪廻転生と人の縁の結びつきに感動できる「イノセントブルー 記憶の旅人」 こんにちは。水海です。 神永学さんの新シリーズでイノセントブルー 記憶の旅人 (集英社文庫) をご紹介したいと思います。 ある事件をきっかけに放浪していた森川誠一郎は、ふと立ち寄った海辺で初めて来た場所なのに懐かしさを感じて再出発の場所として選びました。 森川は、古いペンションを気に入って買い取り、手をかけて慣れないペンション経営を始めました。 開業当初から働いてくれているアルバイトの平井陽子が、明るくて人受けも良いことも幸いしてペンション経営が成り立っていました。 ある春先に、浜辺で倒れていた、才谷梅太郎という不思議な美青年と連れ立っている犬のミラノを助けます。 飄々とした不思議な青年の才谷は、自分は前世の記憶があり、人捜しをしていてこの浜辺には運命によって流されてきたと云います。試しに、森川や、陽子の前世を追体験して見せることが出来るので、その夢を共有して自分の人捜しに協力をしてほしいと言い出します。 森川は、催眠術だと疑って前世の夢を拒否しますが、陽子は、前世を受け入れます。漠然として抱えていた何か満たされない想い…。前世では叶わなかった想いが、現世ならば自分が一歩を踏み出せば出来るということに気がつきます。 そして、前世の縁も絡んで、前世の記憶に捕らわれたり、導かれるかのようにして森川のペンションには現世でもしがらみを持っている人々が引き寄せられ集まってきます。 繰り返し見る夢の中で逢う女性が、前世の想い人だと確信し、記憶に捕らわれて闇雲に行動をする悠人。 その悠人の夢に現れる現世での女性は、ピアニストの三浦千里。 悠人は、夢で見ていた場所が実在していること。 夢の女性が生まれ変わっていることを信じて疑わず、自分の想いだけに捕らわれ行き当たりばったり無謀な行動を起こします。 導かれるように向かう場所は、森川の住む浜辺…。 才谷を拾ってから、森川の元に、前世と現世での縁が絡み合った人々が集まってきます。 会社経営に失敗した元社長で、ホームレスになり自殺を考えて死に場所を求めていた有田浩介。 森川が放浪する前の事件の当事者である汐見純也との因縁の再会。 全ては、前世からの複雑に絡み合った縁から、そうとは知らずに、現世でも再び縁を結んでいること。 魂に刻まれた絆と、前世での過ちによる拭えない傷を再び繰り返してしまう性。才谷の持つ不思議な能力で人々は前世の自分を知り、魂の再生と癒やし、可能性を見つけて新たに生き直す術を得ていきます。 悲しみと優しさに包まれるお話で、輪廻転生と人の縁の結びつきに感動できる物語です。 [0回]PR