小説 2015/04/27 平井和正の死霊狩り②(ゾンビー・ハンター)人間が、人間らしいという証明は、なにをもって可能なのでしょうか。 こんにちは。水海です。 今日は、この間ご紹介した死霊狩りの2巻、死霊狩り(ゾンビー・ハンター)2です。 生命力を買われてゾンビーハンターとなった元レーサーの俊夫は、最初の事件でゾンビーに汚染されていた恋人のジャンジーラを機銃で自ら手にかけました。 その事件で、唯一の肉親である姉の由紀子も巻き込み亡くしてしまいます。 絶望と、ゾンビーに対する復讐、司令官"S"への憎悪を糧に生きている俊夫に、次の任務が与えられます。ゾンビーと信じて遂行した任務でしたが、殺した人間はゾンビーではなく生身の人間でした。 ゾンビーではない人間を殺した事実に苛まれ、悶々と悩んでいるところに、教官でもあり仲間と信じている林や、ライラからも、俊夫は殺し屋には向いていない、早く手をひいた方がいいと諭されてしまいます。 その事実を頑なに認めない俊夫は、司令官"S"に、単なる殺人マシーンとして使われたという疑問をぶつけて詰め寄り、確実にゾンビーである対象者以外の任務は請けないと伝え、ゾンビーハンターとして新たな任務に着手します。 任務の内容は、CIAの協力を受け、元電気技師である加賀昭と妻の陽子、二人の子供の秀夫とナナという、一家の抹殺でした。 無意味な人殺しを望まない俊夫と、CIAの要求が噛み合い、加賀一家を観察して作戦を練っていた俊夫は、対象者の妹である加賀良子に近づきます。 報告内容との相違に、対象がゾンビーではない疑念を抱いた俊夫は、任務の遂行を躊躇ったため、"S"から任務不適切と見做されて、代わりに林が送り込まれてきました。 林を説得し、僅かな猶予の時間を得た俊夫でしたが、必死に救おうとした加賀家と良子の真実が明らかに…。 組織も人も、それぞれが掲げた思想と利益によっての行動しかしてくれません。誰がゾンビーで、誰が人間なのか。 自分が知っているゾンビーの真実が本当は何なのか、人間性とは何なのかを、他ならぬ良子に問われます。司令官"S"の底知れなさがもたらす、権力者の論理。 林の、殺し屋として生きる感情に左右されない感覚の慣れ。 ライラの生きてきた環境で培われた、血の繋がった弟でさえも、己の使命の前に排除も辞さぬ冷徹さと任務を遂行する非情さ。 人間が、人間らしいという証明は、なにをもって可能なのでしょうか。 そんな二人でも俊夫のことを心配する一面を持ってるという部分に、人間の矛盾と微かな希望を見いだしてみたいと思ってしまいます。 俊夫は苦悩の果てに答えを見つけることができるのでしょうか。 ▼ブログランキングに参加しています。 ▲にほんブログ村「ライトノベル」関係ブログランキング [0回]PR