小説 2015/04/25 平井 和正・死霊狩り①を読む。世界観に人間の持つ残虐性と暴虐性が表現されている こんにちは、水海です。 今日は少し前の作品ですが、死霊狩り(ゾンビー・ハンター)1 です。 平井さんの世界観の根底には、常に人間の持つ残虐性と暴虐性が表現されています。 元レーサーの田村俊夫は、レース中の事故で瀕死の重傷を負いましたが奇跡的な生還を遂げますが、事故原因の真実を隠蔽するために邪魔な存在として、チームからは解雇され、レース界からも追放されてしまいました。 今までの華やかな世界から一変、地位も夢も恋人まで失った俊夫は、絶望の果てに暴力団を殺傷する事件を起こし、警察に追われる身になっていました。 そんな俊夫に近づいてきた得体の知れない男たちから常識はずれの条件で、海外の秘密組織に高額な報酬と引き換えに身柄を買い取られます。 他にも人種や国籍も雑多な人間が、俊夫と同じように選抜試験を受けるため島に送り込まれました。 CIAやFBI、犯罪者といった暴力の猛者たちばかりの連中が一堂に集められて行われた生存競争。 そこで生き延びた生存者も、更に過酷で特殊な訓練を秘密キャンプで受けさせられました。 俊夫は、凄惨な生き残りをかけた生存試験で、二人の仲間と共に生き延びていました。 驚異的な回復力と、ナイフ使いの名手でもある、元パレスチナ民族解放戦線の女兵士、ライラ・アミン。 日本企業に対する破壊工作活動に失敗して捉えられた男で、超人的な体力と、人体の経絡秘穴を知り尽くした技も持つ、元中国保安省破壊工作員の林石隆(リン・シールン)。 最初に集められた二千人のうち、百人に一人の割合でしか生き残れず、残った人間は死ぬか発狂の道を辿りました。八ヶ月の養成期間。俊夫も、訓練で左目と左腕を失い精巧な義手と義眼を与えられました。 何のために、ここまで過酷な試練を受けなければならなかったのか。 施設の司令官である"S"を抹殺して、島からの逃亡を決意し行動を起こします。対峙した"S"を前に、林とライラから話を聞いてほしいと懇願。その真実は、緑色の物体が人体に寄生していること、地球外生命体による、宇宙からの侵略を受けといるという事実でした。真実を知っても、話を信じていない俊夫は日本に戻ります。 姉の由紀子と恋人のジャンジーラが俊夫を迎えてくれますが、"S"の思惑通りに踊らさていた現実が俊夫に突きつけられることに…。俊夫は、ゾンビーハンターとして侵略者を葬り、"S"に復讐するために生きることを誓います。 圧倒的な破壊と暴力、国家的な規模で大義名分の上になされる非人道的な活動。一個人の平和という、脆く簡単に崩れ去る現実。 現実世界でも、紛争やテロ活動、残虐な事件が身近なところでも数多く起こっています。 普通と信じて疑わない現実世界で、何が嘘で何が本当なのか、どこまでの真実が知らされているのか、何も知らないでいることの罪と幸福を感じてしまいます。 ▼ブログランキングに参加しています。 ▲にほんブログ村「ライトノベル」関係ブログランキング [0回]PR