本(歴史) 2011/05/13 江戸の見世物 川添 裕著 江戸時代の娯楽とはいったいなんだったのか?という疑問がこの本で分かります。 遊園地もカラオケもない時代の人々の楽しみ。中々興味がありますね。 籠細工~生人形まで、江戸の娯楽がここに記されています。 目次 いざ、江戸の見世物遊歴へ-まえがきに代えて 遊歴の隠居 見世物三昧の1日 ご開帳と細工 見世物 見世物好きの棟梁 第一章 浅草奥山の籠細工 巨大な小屋の、巨大な関羽 見物の声の動揺 口上話芸 見世物をめぐる金銭 ニ、三人にひとりが見物 見世物の経済効果 金主による奉納 見世物の娯楽イメージ 歌舞伎での当て込み 浮世絵と囃本 伊勢へ 第二章 奇妙な細工の楽しみ 歴史に残る大ブーム 細工の実験場 職人の王国 大阪下り 浪花の一田庄七郎 釈迦涅槃像 古今未曾有の大当たり 仏教の見世物化 とんだ霊宝 見立て絵本の系譜 つくりもの文化 第三章 珍しい動物のご利益 名号牛の眼福 見世物になった舶来動物 ご利益のパターン ラクダがやってきた さまざまな情報と風聞 盛りだくさんのご利益 お礼としての見世物絵 おしどり夫婦 『和合駱駝之世界』 和合ラクダ七福神 その後の動物見世物 第四章 軽業のよろこび 安政の世へ 早竹虎吉 江戸初お目見得 高小屋のあやうき芸 早竹源氏の旗指物 伝統演目の見世物化 アクロバットと物語の重奏 衣装と道具のスペクタル 騒々しいほどのお囃子 「早」の字のひとびと 軽業師の海外渡航 アメリカの早竹虎吉 第五章 生人形の想像力 幕末の新機軸 肥後熊本、松本喜三郎 鎮西八郎島廻り 当初のためらい 浅草初興行をとりまく状況 安政三年の爆発的流行 豪華なバラエティ 遊女の肌 生人形の人肌路線 黛人形の「当代性」 災厄が襲う 小糸・佐七の顔 見世物小屋の土地感覚 浅茅ヶ原一ッ家 想像力の渦巻 お名残口上-むすびに代えて 川をさかのぼる旅 江戸の見世物と、現代の「見世物」 新種の見世物 押しとどめようがないもの 何の活性化か 主要参考資料 本書には大きく5つの見世物が紹介されています。 1、籠細工 2、籠細工から発展した様々な細工物 3、珍しい動物 4、軽業 5、生人形 籠細工っていうのは、竹を割いて、その竹を編んで作られた物のこと。 文政ニ年の浅草奥山では関羽と周蒼の細工人形が7,8mもの大きさで作られ公開されたらしいです。 イメージとしては青森のねぶた祭りが近いのではと思います。 細工物は、籠以外の素材を使って作られた作品。 貝や、ちりめん、大根、植木…と何でも使って作り上げた細工物です。 面白いのは文政三年に作られた銭(お金)で作られた、にわとりとひよこ。 お金でつくられたので銭細工。これは、現在も残っているらしく。小さいながらも写真が掲載されています。 珍しい動物。今ならパンダってことになりますか。動物園に見物客が押し寄せていますね。 江戸でも同様に、珍しい動物を見るため、人々が集まったみたいですよ。 ちょっと違うのは、ゾウやラクダ、ヒョウ、トラといった今では普通に見られる動物が珍しがられていたという点。 当時は珍しかったのですね。 軽業は今で言うサーカスってところでしょうか。 綱渡りや旗竿をバランスをとりながら、竿先に子供を乗せる曲芸を見せたのです。 アメリカにも渡ってこの芸を披露したというのですから相当なものです。 生人形(いきにんぎょう)は人間そっくりの人形をつくり、見世物小屋の中でストーリーを語る口上師の話芸とともにその出来を客に見てもらう興行です。 ジオラマのように配置された人形は精巧に出来ていて、 「まるで生きているようだ。」 というところから生人形と呼ばれているようです。 有名な松本喜三郎を中心に書かれています。 と、このように本書では、現存する資料から考えられる可能性を示唆し、当時の江戸の娯楽としての見世物に迫っています。 変形文庫本サイズなので持ち歩きにも便利です。通勤通学時のお供に江戸の文化に触れてみませんか? [0回] PR